「グッドデザインカンパニーの仕事—1998‐2008」を読みました。グッドデザインカンパニーとはアートディレクターの水野学さんが代表を務めるデザイン事務所で、グッドデザインカンパニーのお仕事10年分、1998年から2008年までを一気に見ることができる作品集のような本です。
水野さんの現場の声というか生の声が書かれており、読んでてゾクゾクっとしました。ドコモの手書きの企画書やiDのロゴのアイデア出し、CI、VIのラフや作った時の考え方、いろいろな名刺のデザイン、さらには「グッドデザインカンパニーの仕事」帯の級数などの細かな指定など書かれていて、こんなに見せてもらっていいのかとドキドキします。(寿→HAPPYの話もありましたよー)
広告のお仕事が主のようですが面白いと思ったのはラーメンズのポスターやらパッケージやらグッズのお仕事。ラーメンズとは多摩美時代の同期らしく、長い間いろんなモノを作ってきたみたいです。しかもきっかけがアンケートとは。。。勝手な想像ですが、広告ではできないような実験的な試みもいろいろやってるのかなぁと見てて思いました。だから面白いんじゃないかなと。
2003年に名芸でJAGDA新人賞の企画展があって、その時の新人賞が、柿木原政広さん、林規章さん、そして水野学さんでした。(林さんが名芸出身だったから?)新人賞とあわせて「グラフィックデザインの入口」という本も出版されており、僕はその本を握りしめて話を聞きに行ってサインをもらいました。新人は朝一番で出社して先輩のえんぴつを削るんだよとか、一年目は仕事もらえないからプールをペンキ買ってきて塗り直したとか、針金のオブジェの話とか。いろんな熱い話をしてくれたことよく覚えています。あれからもう5年も経過してるんですね。はやいなぁ。。。
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先月、本屋でたまたま手に取ったデザインの本なんですが、これがなかなかおもしろかったです。本書はデザインの各要素となりうる、点、線、面からはじまり、リズムとバランス、スケール、テクスチャ、色、図/地、フレーミング、階層、レイヤー、透明、モジュール、グリッド、パターン、ダイアグラム、時間と動き、規則と無作為、を事例とともに紹介している。その事例が、ポスターやパッケージ、オブジェなどアナログなもの(アナログ?言い方がおかしいですかね。物質的なモノ?)から、プログラムを用いた実験的なもの、また、著者がメリーランド美術大学で教えていることもあり、そこの学生・教員が作成した習作も多く掲載している。それらが混ざった状態で掲載されているので、こういう展開もありかぁとお互いが刺激し合っている感じがして見ていておもしろいです。表紙からして心奪われちゃう感じがしません?
岡本一宣さんのデザイン事務所による、地図、チャート、グラフ、マーク、870アイテムが掲載された作遺品集。この厚みハンパないです。
岡本一宣さんといえば、僕はアスクルのカタログのイメージが強くて、どこのページを見てもテンションが保たれいて、あまりにそれらが普通な素振りを見せるので、それが当たり前の用に思えてしまうんですが、いやいやすごいことだと思います。
本の後ろの方岡本さんのテキストも掲載されています。月曜日のミーティングで気に入ったもの見せあうとかいいかもしれないと思いました。
たとえばエディトリアルの中のレイアウトは、誰がやってもあまり違いはないんです。(中略)そこで差をつけるのは何か。デザイナーの力量を見せるのは何か。それはこういう細かいところ。誌面の中で、もしかするとどうでもいいように見える部分です。実は、人間は大きいところでは感動しないんですよね。芝居で言えば些細な演出、ダンサーの細やかな足の動き、音楽だったらたとえばジャズの間合い、高音と低音の間隔。映画であれば編集の積み重ね。そういう細部の集積に、人は感動するのだと思います。(p715より)
特集などの目立つ部分ではなくて、奥付や最後のほうにある「情報ページ」のようなものとか、そういう部分ですよね、泣かせどころというのは。(p717より)
スタッフとは、毎週月曜日にミーティングをします。そのときに自分たちの気に入ったものを持ってきてもらうんです。経理もマネジメントも、全員。好きな印刷物や本だったりいろいろだけれど、気になったものの紙質だとか、こんな特殊印刷やってみたいだとか、話をするんです。(p724より)
書体デザイナー小林章さんの欧文書体2おもしろいです。欧文書体その背景と使い方に続く書籍なんですが、今回は、定番書体と演出法という副題で、大きく2つの章に分かれています。前半は実例を紹介しながら、欧文書体の使い方を解説してくれていて、後半は定番書体徹底解剖!
まず、前半からテンションあがります。カラーの写真が豊富で、ヨーロッパに小旅行に出かけたような気分に。ヨーロッパの生活風景から、高級感を演出する書体、親近感を演出する書体、食欲をそそる書体。国ごとに比較する、イギリスらしさを演出する書体、ドイツらしさを演出する書体、フランスらしさを演出する書体。また信頼感を伝える書体として、HelveticaやUnivers、Futura、新しいサンセリフ体としてVialog、TheSans、Officina Sansという書体も紹介されていました。Vialogはミュンヘン市の交通システムで使われていて、TheSansはスイスの電話会社swisscomの公衆電話などに使われているそうです。
それぞれの書体を事例を交えて紹介してくれているので、こうやって使うのかぁ〜と、すごく勉強になります。イギリス、ドイツ、フランスの比較もすごくおもしろい。ロンドン地下鉄の駅名表示のNew Johnstonに日本人が関わっていたなんて全然知りませんでした。(参考:aki's STOCKTAKING: New Johnston)
後半は定番書体として、Helvetica、Garamond、Palatino、Zapfino、Univers、、、それぞれを細かく解説してくれています。また、Helveticaをのぞく書体に関しては、制作者にインタビューまでしてて(そんなこと、小林章さん以外できる日本人はいないんじゃないか)、すごいなぁ〜と思いました。おもしろかったのは、UniversやFrutigerを作ったアドリアン・フルティガーさんが、OCR-Bというバーコードなどに使われているフォントを共同開発していた話。(フルティガーさん -> Pictures of his Life on Flickr - Photo Sharing!)趣向を変えてと紹介していた、ヨアヒム・ミュラー・ランセイさんの作ったフォントの話が興味深かったです。(参考:article: form makes us ask for meaning)
日本語の書体は普段使っている母国語なので、感覚的にできる部分もあるのですが、欧文書体はやっぱり知識が必要だなと。でも、それを忘れて、楽しんで書体を選んだらいいような気もしました。また、今度は実際に手を動かしながら、じっくり読みたいと思います。
関連:
- 小林章のドイツ日記
- ここにも Futura
- ライノタイプ2008年7月号メールマガジン
- TDCの展覧会・イベント情報
- 小林章欧文タイプ・セミナー「実践アルファベット!」質疑応答
- Optima Nova Text.
本屋で印刷特集をやっており、そこに並んでいた「文字の母たち」という本に目がとまり、手に取ってみたんですが、活版印刷のその歴史とその役目を終えようとしている時の流れとを知る事のできる写真集でした。
ヨハネス・グーテンベルクによって活版印刷技術が確立し、聖書が印刷されましたという話はよく言われている話だと思うんですが、その後印刷技術はどのように発展したのかという事を全く知りませんでした。
本書は写真中心の本ではありますが、間に書かれている解説のテキストも本当に勉強になる。王政とともに各年代の職人が文字を作り納めていたり、アルファベットにとどまらず“オリエンタリスト”と呼ばれる人はギリシャ語やヘブライ語、アラビア語、エジプトの象形文字のようなものも組んでしまうとか、すごい。
本の表紙には漢字の辞書のようなものの写真がつかわれているんですが、漢字の活版印刷もここで長い年月をかけて作られ、それが後に日本に入ってきたりしているそうです。おどろきました。
photo by Alain Bachellier
Flickrで写真がないか少し検索してみたら、Alain Bachellierという方が L'atelier d'Art de Imprimerie Nationale - a set on Flickr で写真を公開していました。フランス語が正確に読めるわけではないので、ひょっとしたら間違ってるかもしれませんが、ネリさんも出てきてるので(文字の母たちに出てきた女性の活字彫刻師さん)、たぶんそうなんじゃないかなと思います。ccライセンスだったので、何点か掲載させていただきました。
参考:
- L'atelier d'Art de Imprimerie Nationale - a set on Flickr
- DNP 秀英体 「文字の母たち Le Voyage Typographique」のおしらせ
- 活字の旅と記憶、港千尋『文字の母たち』 - 三上のブログ
原研哉さんの「白」を読みました。昨日、らくだ書店に行ったときに、哲学のコーナーにあって、哲学なのかぁと手に取ってみました。
原研哉さんといえば、無印良品の広告などがなじみ深いところではあると思うんですが、日本のタイポグラフィだったかを眺めていたときに、白川静さんの「常用字解」のエディトリアルに原さんの名前があって、それがとても印象に残っている。
そして原さんと言えば「白」という印象も強く、本書は「白」について語られた本でありますが、白は白でも日本人の白という所ではあるのかなと思います。装丁もご自身でされていて、目次の後に著者自装と書かれていて、おぉと思ってしまいました。また装丁の特徴として、半分が英文で書かれており、中央あたりにあとがきがあるおもしろい構造でした。
- 第一章:白の発見
- 第二章:紙
- 第三章:空白 エンプティネス
- 第四章:白へ
- あとがき
本書は上記のような構成になっており、プリミティブなものから複雑なコミュニケーションへ展開している印象を受けました。
興味深かったのは、古代、色の形容が赤い/黒い/白い/青い/の4種類であり、それぞれ明るく勢いのある様/暗く光のない様/顕(いちじる)しい輝き/茫漠(ぼうばく)とした印象/を形容しているという話(それをふまえた日本の国旗の話も興味深かった)や骨や乳、卵など生命の周辺に白が存在している話(そもそも白とは野に放置された頭蓋骨からきているそうだ)。白から空白に結びつけ、水墨画や日本の神道の屋代、「阿吽の呼吸」「根回し」「腹芸」などの高度なコミュニケーションなどの話がおもしろかった。
美しさは創造の領域に属するものと考えられがちだが、何かを生み出すのではなく、ものを掃き清め、拭き清めて、清楚(せいそ)を維持するという営みそのものの中に、むしろ見出されるものではないかと最近では思うようになった。
(第四章 清掃より)
この感覚とか日本人独特の感覚だなぁと思いました。モノや情報があふれている時代だからこそ、ふと立ち止まる事も大切だなぁと。(ありふれた表現ですが…)
陰翳礼讃もあわせて読むとおもしろいかもしれません。































































