WEBサイト制作者のためのHCD(人間中心設計)の理解 in 名古屋の第3回、HCDプロセスの最終段階である「ユーザー評価」に参加してきました。今回は、ユーザー評価というテーマで、はじめ45分ほど講義、その後実際にグループに分かれて課題を行いました。

セミナーの様子は、講師の浅野先生のブログ、情報デザイン研究室から見る事ができます。

講義

ユーザー評価とは、『指定された目標を達成するために用いられる際の有効さ・効率・ユーザーの満足度』などを測るもので、プロダクト製品などでは、プロジェクトの最終段階に用いられる場合は多いそうなのですが、ウェブサイト制作では、リニューアル前のサイトで行って、リニューアル後のサイトで行うということもあるようです。

評価の手順としては、1)何を評価するか明確にする → 2)評価方法の選択 → 3)評価と分析

評価手法としては様々あるのですが、特に覚えておきたい評価手法としては、4つ、エキスパートレビュー、認知的ウォークスルー法、ユーザビリティテスト、長期観察があるそうです。

エキスパートレビュー(ヒューリスティック評価)

評価者がユーザビリティガイドラインにもとづき、自分の直感と洞察を駆使してユーザビリティの問題点を発見する方法

分類インスペクション評価
評価者評価専門家3名以上
場所会場
やり方ニールセンの10項目やユーザ(ペルソナ)のコンテキストを考慮しながら行う
効果広く浅く問題点を発見することが出来る
評価出来ること(静的評価)評価熟練者による経験値、広く浅く問題点を抽出
デメリット適正なチェックリストが必要
参考8月発売の情報デザインの教科書にヒューリステック評価のテンプレートがついているそうです。

認知的ウォークスルー法

検査者自身がユーザーの認知的な行動軌跡を推定して問題点を抽出する方法。ユーザーが自分の目的を達成するためにどのような行動をとり、その結果予想しなかったエラーをどのような場合を犯すかを想像して進める。

分類インスペクション評価
評価者開発者
場所会場
やり方開発者数名でブレーンストーミングを行いながら
効果ペルソナ法との親和性が高く、タスクさえ上手く設定できればかなり奥深い問題を発見できる
評価出来ること(動的評価)仕様書段階から評価可、焦点が合えば奥深いところまで問題発見が可能
デメリット熟練が必要

(短期)ユーザービリティテスト(プロトコル分析)

対象となるユーザーがどのようなスキルか設定し、ゴールとそれに向かうタスクを設定、タスクごとに評価ポイントごとに問題点や懸念事項を認知科学的なガイドラインに沿って列記していく

分類モニター評価
評価者ノービスユーザー(初見ユーザー)
場所会場(マジックミラーのある部屋で行う場合も)
やり方熟練ユーザーと初見ユーザーとの操作手順をビデオに撮って撮影、その時間と問題点を分析する(NE解析)
評価出来ること初見での操作性が分かる公的な使用を目的としたものに向く
デメリットコスト高

(長期)長期観察

熟練したユーザーを長期にわたって観察、ビデオ撮影や写真、日報などで行う

分類モニター評価
評価者エキスパートユーザー
場所現地
評価出来ること熟練したユーザーの操作、本来の実用価値が分かる
デメリット時間がかかる

上記の評価法の中から、今回は、ユーザビリティテストを行いました。

課題


名古屋市公式ウェブサイト:トップページ

行った内容としては以下の通りです。

  1. タスクの設定
  2. ユーザビリティテスト
  3. 書き起こし
  4. NE比解析
  5. 発表・講評

タスクの設定

グループ毎に課題で出されたサイトは異なったのですが、公的なサイトは、はじめて訪れる人が多いということで、僕らのグループでは、名古屋市公式ウェブサイト でユーザビリティテストを行いました。テストを行う前にタスクを設定するのですが、このタスクの設定が非常に重要であるとの事でした。例えば、単に予約をするということだけなく、その後キャンセルをするとか、今荷物がどこまで届いているか確認するなど、タスクを設定して、それらをきちんとクリアできるかを確認します。

タスク(アクティビティ)

僕らのグループでは、以下のタスクを設定しました。

『県外から名古屋市に引っ越してきたサラリーマンが、引っ越し後に急いでやらなければならないことを、市役所のサイト内で項目に目を通す』

答え(インタラクション)

上記のタスクをクリアするために、まず、グループ内で、答えを以下のように設定しました。

  1. 名古屋市役所のホームページにアクセス
  2. トップページのナビから「暮らしの情報」をクリック
  3. ナビから「住まい・引越し」をクリック
  4. 「引越し」カテゴリーの「転入の際に必要な手続き」をクリック
  5. 「転入手続きチェック表」をクリックして印刷、前のページに戻る
  6. 「住民登録や戸籍に関する届出(転入)」をチェック、前のページへ戻る
  7. 「ライフラインの利用」をチェック、前のページへ戻る
  8. 「運転免許証」をチェック

操作している様子をビデオで撮り、後で書き起こしを行いました。

ユーザビリティテスト

ユーザービリティテストは以下の手順で行いました。

  1. まず練習で班のメンバーが被験者になってテストをする(パイロットテスト)
  2. もう一度班のメンバーでテストを行う、これはデーター(ビデオ)を採ります。
  3. 次に他の班から被験者を借りて来てテストを2回行う(ノービステスト)

結果:エキスパート1名・ノービス2名のデータが採れます。

注意点
  1. 最初にタスクを声に出して読ませる(滑舌を良くする)
  2. モデレーター(被験者の隣にいる人)は常に発話を促す(人は熱中すると無口になる)
  3. 被験者の質問に答えない。(例:これでいい?)
  4. 質問には「自分で考えてください。」と答える。
  5. 最後に「終了しました。」と言ってもらいテスト完了。
  6. テスト終了後、感想をインタビューする。これが大切!

注意点としては、上記の通りでした。

書き起こし

被験者がサイトを操作している様子をビデオで撮影し、その経過時間と行ったアクションをリストに書きお越していきました。またその際の発話も書き起こしをしていきます。迷っているときなどの発話は、改善点の重要なヒントになる可能性があるそうです。

NE解析

まず、エキスパートとノービスがそれぞれのタスクをクリアする時間をグラフにしました。そのそれぞれの値を( ノービスがかかった時間 / エキスパートがかかった時間 )でNE比を出します。(残念ながらグラフの写真を撮り忘れました。先生のブログの下の方のグラフです。)実際にかかった時間だけでなく、それがエキスパートとノービスの値を比較したNE比を出すことで、より、問題になったタスクがクリアになります。僕らのグループでは、まずはじめに、引っ越しの事について調べるのに、トップから「暮らしの情報」をクリックしなければならないという事が問題であるということが明確になりました。

感想

ユーザーテストを短い時間ですが、実際に行うことができてとても勉強になりました。制作者がより客観的な視点に立つには、こういったテストは非常に有効であることも理解できました。タスクの設定は、そのゴールが明確である必要があることや、サイトの情報の階層化なので、タスクに検索を含めてはいけない事など、実際にやってみると分かることがいろいろありました。

問題はこれをどう実際の業務に盛り込んでいくか、とはいえ、やれば何となく使いにくいでしょ?ではなく、数値で使いにくさ/使いやすさが明確になるので、機会があれば、実務にも取り入れて行きたいと思いました。

次回は、ペルソナ/シナリオ法[ ペルソナ/シナリオ法の理解とサイト企画ワークショップ]です。


tags:人間中心設計 モンキーワークス IA 名古屋 デザイン 


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